2010年11月26日

小児の胃軸捻転

*** 小児の胃軸捻転

NGチューブの位置異常のうち、椎体に重なるように中央に偏位している場合、胃軸捻転を疑う。

小児胃軸捻転は、生後6カ月以内に起こりやすく、新生児期が特に多い。
レ線上、二重胃泡が見られることが多い。仰臥位で嘔吐が見られるが、腹臥位では消失する。治療は腹臥位にて養育すると自然に治る。手術の必要はない。



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2010年11月25日

たこつぼ型心筋障害

*** たこつぼ型心筋障害

急性の心筋梗塞に似た症状で発症するが、可逆性。心尖部の収縮低下(と心基部の過収縮)のため心室造影所見は特徴的なたこつぼ状を示す。

中高年の女性に多く、心的ストレスが発症の引き金となる可能性がある。

心筋梗塞疑診例の約3%を占める。予後は一般に良好だが、死亡例も10例ほどある。

心電図上はST上昇に続いて陰性T波が見られる。死亡例の組織では心筋に単核球浸潤と壊死に伴う線維化が見られる。

冠動脈造影では狭窄像は認めない。カテコラミン関与のスパスムによる可能性が示唆されている。交感神経終末は心基部で密で心尖部で疎。
左室造影所見も8日〜1ヶ月前後で正常化する。

気絶心筋 stunned myocardium との関連が強いとされる。

クモ膜下出血でも心電図上ST上昇に続いて陰性T波が見られることがあるが、左室壁異常は心尖部以外にも見られうる。


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2010年11月24日

腹腔鏡下手術

*** 腹腔鏡下手術

腹腔鏡下手術では気腹が行われるが、高い腹腔内圧のため静脈還流が障害され、術後に肺鬱血・心不全をきたす症例が報告されている。
このため腹壁吊り上げ術がおこなわれる。

後腹膜腔では腹腔鏡下手術よりも大きな切開を入れ、片手をつっこんで手術する用手補助腹腔鏡下手術(hand-assisted laparoscopic surgery)も行われている。



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機能性卵巣腫瘍

*** 機能性卵巣腫瘍

莢膜細胞腫や顆粒膜細胞腫などのステロイドホルモンを産生する腫瘍のこと。
性索間質性腫瘍である。

非性索間質性腫瘍である上皮性の卵巣腫瘍でもステロイドホルモンを作るものがある。腫瘍間質が生産するとされる。例として粘液性嚢胞性腫瘍や卵巣転移がある。

子宮内膜の肥厚、子宮腫大などが見られる。

アンドロゲンを産生するものもある(セルトリ・間質細胞腫瘍)。転移でもまれに見られる。この場合、子宮の萎縮などを呈することがある。



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2010年11月23日

収縮性心膜炎

*** 収縮性心膜炎

心膜が炎症後に線維性肥厚を呈するもの。

収縮性心膜炎のうち、石灰化するものは50%にすぎない。

心膜の石灰化は、動きの少ない右心系に生じやすく、肺動脈弁付近まで広範囲に石灰化するものが多い。

心筋や心室瘤の石灰化との鑑別は比較的易しい。



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2010年11月22日

縦隔リンパ節

*** 縦隔リンパ節

石灰化した肺門・気管支リンパ節が圧迫による潰瘍形成をおこして気管支内に侵入し、気管支結石をつくることがある。

卵殻状石灰化は珪肺症の他にサルコイドーシスでも見られる。分芽菌症 blastomycosis でもありうる。
サルコイドーシスでは傍気管リンパ節腫大も多い。片側性肺門リンパ節腫大は 1-3%に見られる。前縦隔リンパ節腫大はまれ。胸水もきわめてまれ。気胸はときどきあり。
サルコイドーシスのリンパ節腫大は悪性リンパ腫よりも辺縁が鮮明であることが多い。
胸腔内リンパ節に胸腔外から転移することは数%とまれであるが、泌尿生殖器・頭頚部・乳癌・メラノーマなどに見られ、睾丸腫瘍と腎癌が最多。

食道癌の際に反回リンパ節腫大が見られることが多いので、このリンパ節が腫大しているときは食道癌の可能性を疑って精査する。



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大型高分化型肝細胞癌

*** 大型高分化型肝細胞癌

通常の高分化型肝癌は直径2cm以下が多い。それ以上の大きさになると脱分化が生じて中分化や低分化型肝癌になるものが多い。
脱分化を起こすことなく大きくなったものが大型高分化型肝細胞癌。

発育は緩徐。

肝炎ウィルス陰性患者が多い。これも脱分化しにくい原因の一つ。

PIVKA II 陽性、AFP 陰性が多い。

特有な画像所見はない。被膜はあることが多い。内部は不均一なことが多い。腫瘍濃染はあることが多いが、あまり強くない。脂肪を有することも多い。壊死があることもある。



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2010年11月21日

Menkes disease

*** Menkes disease kinky hair disease

伴性劣性遺伝。
痙攣・進行性の精神運動障害・ちぢれ毛が特徴で、3歳までに死亡することが多い。

血管の蛇行、骨の異常、尿路系の異常、低体温などが見られうる。

腸管からの銅の吸収不全が原因と言われ、血中銅とセルロプラスミンの低下で診断される。

組織学的には皮質の neuronal loss・脱髄(形成不全の要素もある)・グリオーシス・小脳の全構成要素の減少が特徴的。

硬膜下血腫が多い。萎縮が強く急激なために、架橋静脈が破綻することによると考えられている。

脳血管の延長蛇行が特徴的。



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Barre-Lieou 症候群

*** Barre-Lieou 症候群

頚椎症またはそれ以外の疾患による後頚部交感神経の刺激症状を呈するもの。椎骨動脈の圧排もよく合併する。

交感神経緊張により椎骨動脈が攣縮し、脳底動脈系の血流障害をきたすことがメカニズムと考えられている。

後頭部痛・めまい・耳なり・霧視・頚部に関した症状などの症状がある。極めて多彩な症状を呈する。慢性化したものは難治。

外傷(むちうち)により惹起されることも多い。

C3/4 の椎間板変性が関与しているという説が最近有力。



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2010年11月20日

復活


 画像診断メモノートが復活しました。

 触れたら壊れる状態でしたが、これで元通りです。
 以前のデータも少し書き直しましたが、これから1週間に1度くらいずつ更新していくつもりです。
 永久に完成はないかもしれませんが、とりあえずは 2200項目くらいにはなると思います。



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2010年11月19日

血瘤腫

*** 血瘤腫 hematocele Bluten mole(blood boil)

血瘤とは一般に体腔、特に精巣鞘膜下への血液の浸出ないし貯留による腫張のことであるが、狭義の血瘤腫は上顎洞・鼻腔に多く見られるもので、病理診断ではなく、臨床診断名である。
腫瘤は自然に崩壊して、悪臭ある血性鼻漏をみる。
臨床的には悪性腫瘍と非常によく間違えられやすい。

狭義には鼻茸の鬱血による海綿体様変化を起こしたものや血管腫・血管線維腫・粘膜内に出血したものをさす。

狭義の出血性鼻茸とは病理学的には血管線維腫であり、血瘤腫とは別物とされる。鼻中隔に好発する(血瘤腫は鼻中隔には生じない)。

上顎洞では自然孔付近に生じて、内外に亜鈴状に発育する。

組織学的には、fibrin を主体とするが、その成因には腫瘍性変化と炎症性変化による二次的出血の2説がある(腫瘍では海綿状血管腫など)。

広範な壊死部を有することがほとんど。

摘出すると予後は良い。

画像的には腫瘤辺縁は染まらないで、内部に不規則に造影される部分がある。
骨破壊像を見ることが多い。

悪性病変との鑑別点は正常組織との境界が明瞭なこと、上顎洞内の場合、腫瘤と骨との間の洞粘膜が保たれていること、好発年齢が若い(10-40歳台)ことなどがあげられる。

MRI での鑑別が困難な疾患として、悪性組織球症や横紋筋肉腫などの出血を伴いやすい細胞構築が不均一な悪性腫瘍があげられる。



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2010年11月18日

異所性腎

*** 異所性腎

異所性腎には交叉性のものと非交叉性のものがある。

非交叉性のうちでは、位置異常と回転異常があり、前者には骨盤腎(pelvic kidney・lumbar dystopia )や胸部腎がある。
骨盤腎のうち、尾側に位置するものほど、多くの部位からの動脈分岐が見られる。腎杯の変形は通常見られる。

回転異常は腎門の向きで決める。腹側なら無回転、外側は逆回転、背側は過回転。

左右の骨盤腎の癒合したものを pancake kidney という。

横隔膜の完成が起こる2カ月前(7週間くらい)に腎の上昇が起きると、胸部腎(胸郭内腎臓)ができる。腎の上部は横隔膜由来の薄い膜で覆われる。



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2010年11月17日

副腎腫瘍

*** 副腎腫瘍

腺腫以外は間質成分に富む。間質の割合により画像上の現れかたが異なる。
腺腫は細胞成分に富む。

副腎腫瘍のうち、T2が60msec未満のものは腺腫であり、それ以上のものは非腺腫であることが多い(Kier R, McCarthy S: MR characterization of adrenal masses; Field strength and pulse sequence considerations. Radiology 171:671-674,1989.)。

脂肪抑制のT2強調画像(out-of-phase T2*強調画像など)が鑑別に有効という報告がある。

両側性腫瘍は転移(肺癌など)の頻度が大。転移の標的臓器としては、副腎は肺・肝・骨についで4番目に頻度が大である。副腎腺腫の部分へ転移する場合がまれながらある。

血管腫はまれ(30例程度)で、その多くは海綿状血管腫。画像的には肝のものと同じ特徴を示す。大きなものは腹部不快感や腹満感でみつかることがあるが、小さなものは無症状。



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副腎

*** 副腎

腎に比べて Gerota's fascia に強く固定されている。
静脈系には変異は少ないが、動脈系には変異が多い。
外から順に、球状体(鉱質ステロイド)、束状体(糖質ステロイド)、網状体(性ステロイド)。
外形が外に凸となると病変が疑われる。

胎生期8週で、腎の原基が副腎に到達する。

最近の Addison 病は特発性のものが多い(60%)。
陳旧性結核によるAddison では副腎は小さい。



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2010年11月16日

原発性側索硬化症

*** 原発性側索硬化症 primary lateral sclerosis PLS Edit

家族性痙性対麻痺と同じく一次運動ニューロンのみに変性が見られるが、遺伝性はないところが異なる。

脊髄小脳変性症の一亜型ともされる。

MRI上、運動野の萎縮が見られるという報告がある。


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Pellegrini-Stieda 病

*** Pellegrini-Stieda 病

内側側副靭帯の内顆からの剥離に続発する異所性骨化。
この骨化を Stieda 骨ということもある。

外傷が原因の場合、受傷後しばらくしてから見られるようになる。




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2010年11月15日

大網腫瘍

*** 大網腫瘍

悪性は 1/5。そのうちでは、半数が原発性の肉腫である。転移は案外少ない。

腹部以外の腫瘍から転移の場合は、まず腹部領域のリンパ節に転移してから腹腔内播種により大網に至ると考えられている。

転移でもっとも多いのは、卵巣癌、胃癌、大腸癌、子宮癌である。
卵巣腫瘍も外からの転移である可能性があるので、特に胃癌がないか気をつける。

純粋な omental cake や結節形成は腫瘍としてよいが、霜降り状や嚢胞状のときは良性疾患も考えられる。



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大腸悪性リンパ腫

*** 大腸悪性リンパ腫

大腸原発悪性腫瘍の 0.5%。

上行結腸と直腸に多い。

粘膜下層以下での増殖傾向が強い。

確立された治療はない。ピロリ菌除菌療法で直腸病変も消退した例がある。



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2010年11月14日

肺明細胞腫瘍

*** 肺明細胞腫瘍 benign clear cell tumor of the lung

日本では20例程度とまれな良性腫瘍。
PAS陽性、グリコーゲンを含む腫瘍。

境界明瞭、球形。好発年齢、好発部位なし。
組織学的には被膜なし。石灰化、壊死、空洞もまれ。
腎細胞癌の肺転移との鑑別は組織学的にも困難。

診断がつけば楔状切除でよい。
予後は良好。ただし、1例のみ転移して死亡した報告あり。



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2010年11月13日

家族性非ポリポーシス大腸癌

*** 家族性非ポリポーシス大腸癌

hereditary non-polyposis colorectal cancer(HNPCC)と言われる。

ポリポーシスを示さないが、家系内に大腸癌、子宮体癌、卵巣癌、小腸癌、腎盂癌、胃癌などの癌が多発する。

右側大腸癌が好発。粘液癌や低分化腺癌の頻度が高い。

若年発症する。世代を経るごとに若年化する。

DNA複製エラーを修復する DNAミスマッチ修復能の異常。



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