2010年12月31日

坐骨動脈遺残

*** 坐骨動脈遺残

胎生初期は下肢の血行は内腸骨動脈分枝の坐骨動脈によって供給されている。
胎生12週までに退化して、かわりに外腸骨動脈〜大腿動脈が発達・下行する。

坐骨動脈が膝窩まで達するものを形態上の完全型という。血管造影で下腿の血行の主幹が坐骨動脈である場合を血行動態上の完全型という。

片側例が多いが、両側性もまれではない。

機械的な刺激を受けやすく、動脈瘤を形成することが多い(約4割)。
浅大腿動脈の低形成・欠損を伴うことが多い(約8割)。

動脈瘤による坐骨神経の圧迫症状が見られることがある。
下肢の過形成を見ることあり。



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2010年12月30日

硬膜

*** 硬膜

硬膜は硬膜外層・硬膜内層・硬膜境界顆粒層からなると言われる。
硬膜外層は骨膜。

頭蓋内では外層と内層は密着しているが、静脈洞の部分では離開している。

脊椎では外層と内層との間は離開し、硬膜外腔と呼ばれる。

硬膜境界顆粒層は脆弱で破綻しやすく、硬膜下血腫や硬膜下水腫の原因となる。



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2010年12月29日

脳類皮腫

*** 脳類皮腫 dermoid

類上皮腫より発生年齢が若い(20歳以下が多い)。
下垂体・橋・小脳正中部など正中部に好発。

脳外のものは板間に発生しやすい。

上皮に加え、真皮成分である皮膚及び付属器をも含むため、類上皮腫より組織的に多彩。
外方より結合織性被膜・真皮様組織・角化重層扁平上皮から成る。

嚢胞内容は液状〜バター状で剥離した上皮と皮脂腺の分泌物に由来。コレステリンを多く含み、毛髪も混じることが多い。
破裂するとやはり無菌性髄膜炎を起こす。

造影にて被膜のみが染まることがある。



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2010年12月28日

低酸素脳症

*** 低酸素脳症

淡蒼球の壊死が有名だが、主とする白質病変の他にも広範な皮質の血流低下が見られる。血流境界域も脆弱部の一つ。

海馬 Sommer 扇状部・小脳 Purkinje 細胞も変性を受けやすい。

大脳皮質第三層と第五層(・第六層)の壊死である cortical laminar necrosis が特徴的。

急性期に脳腫張をきたし、以後全体に萎縮のくるタイプもある。

小児の場合、未熟児と成熟児とで様式が異なる。未熟なほど反応性変化(グリオーシス・瘢痕形成)に乏しい。
未熟児に多いのは、脳室周囲白質軟化(PVL)・上衣下出血・脳破壊性孔脳症で、成熟児では、皮質下白質軟化・瘢痕回・基底核壊死(大理石斑紋など)・多嚢胞性軟化である。

新生児仮死の場合の変化は anoxia によるものと ischemia によるものがある(一般に新生児は年長児に比べると低酸素に抵抗性)。
前者によるものは広範な浮腫・皮質の壊死など。後者によるものは動脈支配域の浮腫・境界域の梗塞など。
両者の浮腫に伴ってうっ血が見られ、二次性に出血が見られる。

PVLは未熟児に多く、その場合は可逆性のことが多く、虚血に無関係のこともある(軽度のPVLは未熟児の正常所見)。

新生児低血糖も無酸素症と同様の結果をもたらすが、出血は少ない。

成人の低血糖後意識障害では基底核部のT1強調画像での高信号化が見られたとの報告あり。



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2010年12月27日

硬膜下膿瘍

*** 硬膜下膿瘍 subdural empyema

蓄膿 empyema と膿瘍 abscess は同義である。

脳膿瘍の 1/4-1/5 を占める。
原因は副鼻腔炎特に前頭洞炎が過半数をしめ、中耳炎、乳様突起炎も多い。外傷もあるが、抗生物質療法のためそう多くない。
乳幼児では髄膜炎後や硬膜下血腫の反復穿刺後にも多い。

硬膜下血腫に感染をきたしたもの(infected chronic subdural hematoma)は少ない。感染経路は副鼻腔炎や中耳炎から板間静脈・硬膜静脈を経て波及する。化膿性血栓性静脈炎から静脈洞血栓症を起こすこともある。この場合、経過は速い。

膿瘍完成後は解熱する。普通の硬膜下膿瘍は被膜をつくりにくいが、急性期や慢性期を除くと被膜が形成される。部位は convex に多い。
頭蓋底には少ない。膿瘍が器質化すると手術が可能。

硬膜外膿瘍は本症よりも症状が軽い。



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2010年12月24日

Petit ヘルニア

*** Petit ヘルニア

下腰三角ヘルニアという。下腰三角は外腹斜筋・広背筋・腸骨稜により囲まれた三角で、lumbodorsal fascia により構成されているために抵抗減弱部位である。

中年以降に栄養障害・妊娠・咳嗽などが誘因となる。

左側に多く、ときに両側性。


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2010年12月23日

Nelson 症候群

*** Nelson 症候群

下垂体 microadenoma による Cushing 病の患者で両側の副腎摘出後に下垂体 macroadenoma が発症する病態。

術後 5-7 年してから発症することが多い。

negative feedback (NFB) が欠如するために、もともとあった下垂体の microadenoma が増大するものと考えられている。


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2010年12月22日

被嚢性腹膜硬化症

*** 被嚢性腹膜硬化症 encapsulating peritoneal sclerosis (EPS)

硬化性腹膜炎ともいう。

腹膜透析の合併症。

癒着性の腸閉塞をきたす。

発症率は 2.5%。
成人例では死亡率50%。

腹膜透析が長期になり腹膜劣化が進んだ結果、腹膜透析を中止とし血液透析へ移行した後の発症が多い。


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2010年12月21日

メトロニダゾール脳症

*** メトロニダゾール脳症

metronidazole は一般名。商品名はフラジールなど。

嫌気性菌と原虫に効く抗生物質。

脳症は多くは可逆性。肝性脳症とされ、歯状核の信号変化が特徴的。


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2010年12月20日

CARASIL

*** CARASIL

cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy の略。

常染色体劣性遺伝。日本人に多い。

高血圧などの危険因子を伴わないで中年期に梗塞や TIA を繰り返しながら皮質下性認知症が進行する。

脳症に前後して頭部脱毛が始まる。

腰痛が80%に見られる(腰椎椎間板ヘルニアが多い)。

Notch3遺伝子(19p13.1-13.2)ではなく、HTRA1遺伝子の変異によることが多い。これが原因で脳小動脈の動脈硬化が進行する。



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2010年12月19日

Mayer-Rokitansky-Kuestner-Hauser 症候群

*** Mayer-Rokitansky-Kuestner-Hauser 症候群

単に Rokitansky 症候群とも言われる。

膣が欠如で子宮も痕跡的(左右に二分)。

出生女児 5000人に1人の割合。

胎生期のミュラー管の分化異常により起こる

卵巣は正常。

画像上の鑑別は精巣女性化症候群。



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2010年12月18日

ベーチェット病

*** ベーチェット病

HLA-B51 との関連が深い。

男子に多い。

血管性ベーチェット病は、血栓性静脈炎と種々の動脈(大動脈・肺動脈・冠動脈・四肢の動脈など)の血栓・動脈瘤形成が見られる。
大動脈瘤は仮性のものが多く、縫合不全をきたしやすい。

肺病変は肺動脈瘤・肺血栓症の2型がある。

肺動脈閉塞部位に分布する気管支動脈に狭窄・拡張を認めたという報告あり。

コルヒチンが有効との報告あり。



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2010年12月17日

splenosis

*** splenosis

移植脾症という。ほとんど外傷による。
脾摘後に出現するはずの血中 Howell-Jolly 小体が認められないことが多い。

脾臓の破裂による腹腔内播種が着床したもの。脾破裂の 2/3 に生じる。

横隔膜破裂などを伴った場合、胸腔内に播種することがある。

肝内に生じることもある。SPIO を使った MRI では肝より取り込みが弱いことが多いので、高信号となることが多い。



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2010年12月16日

烏口下滑液包

*** 烏口下滑液包

肩甲下筋と烏口腕筋上腕二頭筋短頭共同腱との間に位置する滑液包。90%の人に見られる。MRIでの描出率は1%以下。

烏口突起の下方に、肩甲下滑液包の前方に位置する。

液貯留の原因として、棘上筋腱や腱板疎部断裂の際に肩峰下滑液包などを経て液が流入する、上腕二頭筋長頭筋腱腱鞘が破れて流入する(肩甲下筋断裂)、医原性に誤入するなどが考えられている。

肩甲下滑液包は関節包の一部が上関節上腕靱帯と中関節上腕靱帯との間から突出したもの。しばしば肩甲下筋に鞍状に乗り上げた形態をとる。この形状は肩甲下筋の腹側にある烏口下滑液包には見られないので、矢状断で両者の鑑別に有用。

内部に隔壁が見られることもある。



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2010年12月15日

頚線維腫症

*** 頚線維腫症 fibromatosis colli

周産期外傷による二次性の線維化によるとされる、新生児や乳児の胸鎖乳突筋の腫瘤で、筋性斜頚の原因となる。
両側性の場合があり、股関節脱臼などを合併することがある。

胸鎖乳突筋の下 1/3をおかす。

斜頚を有さず、腫瘤のみのこともある。

悪性腫瘍(横紋筋肉腫・神経芽細胞腫)との鑑別は主にエコーが有用。


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2010年12月14日

乾癬性関節炎

*** 乾癬性関節炎

乾癬は炎症性角化性皮膚疾患である。原因は不明ながら免疫異常が疑われている。

関節症は乾癬の7-20%に見られる。

リウマチ様の関節炎の形態をとる場合と仙腸関節と脊椎炎との合併の形態をとる場合・または、DIP関節に限局する場合とに三分される。
あるいは DIP型、少数指型、RA型、ムチランス型、脊椎炎型に分ける。

脊椎炎型の約半数は HLA-B27 陽性。

リウマチ様では滑膜の変化が似るが、リウマチ因子はなく、関節の破壊もRAよりは軽い。遠位の指間関節に初発しやすい。



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2010年12月13日

延髄下オリーブ核仮性肥大

*** 延髄下オリーブ核仮性肥大

延髄に存在する下オリーブ核の神経細胞の脱落、グリオーシスが生じる。

Guillain-Mollaret 三角の神経路の破壊による。

Guillain-Mollaret 三角は赤核と同側下オリーブ核および対側歯状核を結ぶ神経路をさす。

MRI では発症後3週間から数か月で見られる。T2強調画像で高信号を示し、信号異常は持続する。



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L-2-hydroxyglutaric acidemia

*** L-2-hydroxyglutaric acidemia (or aciduria)

緩徐進行性の遺伝性疾患(常染色体劣性)。

進行性小脳失調と精神運動発達遅延が主症状。

発症が緩慢なため比較的高年齢にも見られる。

大脳では皮質下白質に変性が見られるのが特異的所見。深部白質には異常はほとんど見られない。尾状核・被殻・歯状核などにも異常信号が見られうる。




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2010年12月12日

卵巣線維腫

*** 卵巣線維腫

コラーゲンを大量に産生する紡錘形細胞からなる卵巣の良性腫瘍で、核分裂は10強拡大視野当り3個以下とされている。

まれに嚢胞・石灰化を有する。

多くは卵巣間質細胞由来と考えられ、非特異間質由来のものは少ないと考えられている。

しばしば著明な腹水を伴うことがあり、Meigs 症候群とよばれる。また、茎捻転を起こすと激しい下腹痛を訴える。手術療法によって完治する。

卵巣莢膜細胞腫(thecoma)・Brenner 腫瘍と同じくT2強調画像で低信号を呈するが、まれに高信号のものがある。
CTでは均一な高信号を呈することがある。



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2010年12月11日

下大静脈腫瘍

*** 下大静脈腫瘍

いずれもまれであるが平滑筋肉腫が最多。特に腎静脈より上部に多いため、副腎などの腫瘍と鑑別が困難で、肝静脈に浸潤している確率大。
女性が圧倒的に多い。
内腔にポリープ状に発育する場合と、壁を伝わって広範に浸潤するタイプと壁外進展をするものに分けられる。

壁内転移も見られる。

血栓で下大静脈の閉塞をきたした場合は、閉塞部以下の下大静脈は正常または拡張するのに対し、腫瘍による閉塞では閉塞部上部での拡張を示す。



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