*** 肺結核
レ線像は大きく分けて、浸出性結核・増殖性結核・乾酪性肺炎・空洞性結核・結核性気管支拡張症・粟粒結核の6型に分けられる。
日本結核病学会の分類では広範空洞型・非広範空洞型・不安定非空洞型・安帝非空洞型・治癒型に分けられ、それぞれI〜V型と別称がある。多くの症例はIII型に入る。結核腫も大きさが2cmを超えるとIII型に入る。
増殖性結核は境界鮮明な不整型の陰影で収縮性変化あり。結核腫なども含まれる。
乾酪性肺炎は一般の肺炎によく似る。上葉以外にも実質性陰影を呈することが多い。シュープを繰り返し、段階的に悪化することが特徴。air-bronchogram が目立つのが特徴。その気管支の内壁が不規則なのが特徴的とされる。
一次結核と二次結核とに分けて考えると理解しやすい。
一次性肺結核は気管支肺炎の形をとることが多いが、たいていリンパ節腫大を伴う(リンパ節腫大のない肺炎は結核以外のことが多い)。古典的には中下肺野の区域性の肺胞浸潤(リンパ節腫大による閉塞性肺炎の像である)。まれに初発結核は進行して、粟粒結核・気管支結核・肺膿瘍(あるいは壊死性肺炎)になる。
二次性の結核はシュープを繰り返し、結節性の散布陰影を呈することが多い。空洞やリンパ節が気道に破れて、一区域に菌が撒布されると肺葉全体のコンソリデーションを見ることがある(結核性大葉性乾酪性肺炎)。これは上葉に多く、免疫低下状態・大酒家に多い。
陰影が片肺の 1/3以上を占めるときは、その中に空洞を含むことが多い。
結核の空洞もニボーを見ることは少ないが、壁は厚く不整。ただし、強力な化学療法後には薄壁空洞となりえ、結核性浄化空洞・解放陰性空洞という。
末梢肺静脈が中心に巻き込まれることはまずない。
気管支散布性結核では小葉中心性分布を示すが気管支内増殖性変化もきたすため、境界が明瞭。小葉中心性の粒状影は tree in bud と言われる。気管支内病変は分岐を示す陰影として表現される。上中肺野に多く、下肺野には病変が少ない。
小葉中心性小結節病変と汎小葉性の強い濃度上昇所見が見られる。後者は前者の増大・癒合によると考えられている。
粟粒結核に見られる小結節性病変は約 1mmの大きさで、密に存在する。二次小葉と一定の関係を示さない分布をする。
気管支結核は初感染巣からの気道内散布による。左主気管支が好発部位。非連続の多発性の狭窄が特徴的。
壊死性肺炎は進行性原発性結核の一亜型であり、空洞を伴った浸潤影や腫瘤影を呈し、しばしば胸水を伴う。気管胸膜瘻の形成も見られうる。
肺門リンパ節結核では一側性で限局し、辺縁不鮮明で融合傾向がある。
胸水のみで他に所見のない時は結核の可能性が最多(ごく小さな肺内病巣があることが多い)。
多くは黄色の漿液性で、蛋白量は多い。まれに血性胸水のこともある。胸水中の結核菌は陰性のことが多いので、PCR 法や胸膜生検が行なわれることも多い。ADAの高値が疾患特異的。
結節の辺縁にスピクラを見ることがあるが、腺癌に見られるものよりは軽度なことが多い。
広範空洞型で内科的治療のみで排菌を抑えることができなければ、手術の適応がある。
結核に多いレ線像
・病変が離れて存在
・一つの病変内にも異なった性質の変化が混在
・病変の主座は気管支周囲
・CTでは小葉中心性や汎小葉性分布を示す実質性病変があり、
正常部との境界が明瞭、また周囲に小結節を伴う
基本的な陰影を時期に従い、
・初期の滲出性変化 辺縁は fluffy
・中期の増殖性変化 辺縁は明瞭で角ばる(線維化・乾酪壊死巣の被包化)
・末期の硬化性変化 線維化・石灰化
に分けることもある。石灰化した病巣でも結核菌は生存している。
tree-in-bud appearance や小葉中心性の分岐状陰影は活動性を示す重要な所見である。
典型的な結核病巣の周囲に見られる非典型的な浸潤性病巣は「周局炎」と呼ばれる。最終的には消失するか無気肺硬化像に進展する。
免疫低下状態では融合性浸潤影の内部に空洞形成が見られる。さらに低下すると初感染結核(胸水・リンパ節結核・粟粒結核)の像を呈するようになる。もっと低下すると粟粒(結節)形成のないび漫性のスリガラス状〜濃厚陰影を呈するようになる。
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