2010年09月23日

画像診断医の画像診断


 たとえ話をします。

 たくさんの鉱物のかけらが大きな箱に広げられています。2人の男が選別をしているようです。

 一人は「これはダイヤか? うーん、ダイヤではない」と言いながら1個ずつ調べています。最初からダイアモンドがお目当てで、それ以外のものは非ダイアモンドとして横に取り除いています。

 もう一人は箱をざっと眺めながら、ときどき石を手にとって考えて、ハンマーで叩いています。全部は調べていません。

 でもこれはなんで調べないのですか、と訊くと「それは菱マンガン鉱だから。しかも大きなインカローズは入ってなさそう」と答えます。
 ではそれは何で調べているのですか、と訊くと、「これはキンバーライトだから、外に出ていなくても内部にダイアモンドが含まれている可能性があるので、割っているのです」と答えます。


 おわかりでしょうか。わかりにくいかな。

 最初の人が画像診断医ではない一般の医師で、「この患者は胆嚢結石ではないか? CT を撮ってみよう。あ、胆嚢結石の所見はないな」という感じで、他の疾患(特に肺や骨格系、泌尿生殖器系)の異常所見があっても気がつかないことが多いのです。
 
 二番目の人が画像診断医で、写っているすべての部位を見て、「これはこう、あれも異常ではない」と写っているすべてのものに意味付けをしてから、異常所見をすべてピックアップ。それからその病態を考えるということになります。

 達人になるとこの処理がほぼ無意識下で一瞬で行われるので、すべての異常所見がすぐに目に飛び込んできますし、それらから推測される病態(病名)がすぐに頭に浮かんできます。 


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posted by やすきー at 13:22| 滋賀 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 画像診断 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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