2012年03月28日

大手遠隔画像診断会社のスキーム


 大手の遠隔画像診断業者が 1000円程度の読影料しか出せないのはわけがあります。

 それなりのお金がかかっているからです。

 使っている機材がクラウド型ではないので、端末を自宅読影医に配らないといけません。
 端末が 100万円とすると、本来 1500円診断料を支払いできるところを 1000円にして、500円を端末の償却にあてることになります。
 2000件でモトをとれる計算ですが、2000件読まないうちにバーンアウトしたり、「忙しいからしばらくムリ」などと言って「冬眠」する人も結構たくさんいるわけです。

 それ以外にも安易に自宅読影医を増やしにくい事情もあります。
 100万円の端末を 10人に配るのには資本金が 1000万円以上必要です。リースで回避できるのですが、割高になってしまいます。それに資本金が少ないとリース契約を結んでくれないこともあります。
 資本金を積むのには株を発行したりして、なかなかややこしいことになってきます。


 ちゃんと仕事をしてくれる人に端末を配って、なるべくたくさん読んでもらうと儲かるため、なんとかして読影医を囲い込もうとします。よその仕事はしないでね、というわけです。

 1000円(最低賃金)しか出さないくせに契約で縛ろうとします。私のような事情通から見ると、雇用される側にとっては最低最悪の条件です。

 知らない人は仕方なしにやっているのでしょうね。


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2012年03月26日

遠隔画像診断が流行らなかったのは


 若い医師から「遠隔画像診断がこれまで流行らなかったのはなぜでしょうか」と訊かれました。

 私は、

1:インフラが高くて使いにくかった
2:画像診断の必要性が小さかった
3:放射線科医の確保が困難

のが主因と思っています。


■1

 インフラは、PCとインターネットの発達前は、専用回線(月16万円;1,6Mbpsとか)とワークステーション(へたするとミニコン)が主流で、初期投資が最低で数百万円(データセンター別)+毎月数十万円かかりましたので、採算性はありませんでした。
 要は、大学や県が国からお金をもらってやるものだったわけです。

 それから PC が発達して安くなり、インターネットも ISDN 回線の時代になり、ドクターネットなどの商用プロバイダが世に知られるようになりました。まだまだ端末は高いのですが、読影料を1000円以下に抑えることによりなんとか利益が出るようになりました。

 そのあたりで私も始めたのですが、5年前くらいからイーサイトのクラウド型が出て早速乗り換えました。
 特殊な端末は要りませんから、今では誰でも参入できる状態になっています。

 ですから今後は、実力があり、きちんとした仕事ができることが重要視されるようになると思います。


■2

 画像診断の必要性は、CTが多列化し、MRIが進化していく過程で、内科医や外科医が「もうついていけない。プロにまかせよう」と思ってきたことで、どんどん大きくなってきました。

 昔は腹部CTは40スライスですんでいたのに、最近は数百枚から場合によっては千を超えるスライスになってきます。素人は全部見れませんし、自分の疑った疾患についての所見しか探そうとしていませんので、見落としがいっぱい出てくるわけです。ヘタすると訴訟になりかねません。

 MRI などでも「知っている疾患しか診断できません」ので、見落としがいっぱい。特に最近は新しい撮像法がやまほど出て、知っている疾患さえも診断できなくなってくる始末。



■3

 病院も放射線科医を雇うことが増えたようですが、なんとか雇うことができたとしても、「私は横隔膜から下しか読影できません」とか「トシなのでMRIは読めません」とか言われてしまうことが多いです。
 全部できる人なんていませんから。
 そう言われて、2人も3人も雇えない病院がほとんどです。
 バイトでしのごうと思ってもなかなか穴が埋まりません。



 そこで、遠隔画像診断。

 でも最近は、会社や大学のNPOなどに頼む現在のスタイルから、病院が運営するスタイルが増えてくると思います。私立の画像診断センターではすでに導入されてきているようです。
 3000円以上で会社に頼むより、1500円程度で下請け読影医に出す方が採算性がいいからです。

 ただ、いい医師を集められるという力があることが前提です。
 具体的には画像診断センターのトップが読影医の質を見極められることが最低条件ですね。



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2012年03月21日

医療分野のクラウド事業で協業?


http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1203/19/news06.html

 横河医療ソリューションズとNTT西日本、NTTスマートコネクトの3社が医療分野のクラウド事業で協業するというニュース。

 NTT が入っているので、医療機関にはとんでもない額(1桁か2桁高額)の請求が来そうですね。

 しかし、横河と言えば、某病院で使っているとんでもない PACS+画像診断システムを提供している会社。

 空気の読めない3社が病院からむしりとろうと考えたのでしょうが、こんなのにひっかかるバカな病院は今時どれくらいあるのか疑問です。


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posted by やすきー at 10:50| 滋賀 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 画像診断メモノート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月03日

だめな画像診断システム


 個人の日記のほうにも書きましたが、「だめな画像診断システム」について。


 ま、だめな条件はいっぱいあるのですが、私が最も重視しているのは

「過去の画像が検索することなしにすぐに(ワンクリックで)見られるかどうか」

 です。




 過去にどういう検査をやっているか、同じ部位の同じモダリティの検査をやっているかは非常に重要な情報です。

 過去の検査履歴があるのかないのか、検索しないとわからないシステムはそれだけで落第です。

 なぜなら医師に余計な時間と手間を毎回毎回使わせているからです。

 積み上げたら膨大な時間です。




 検索しなくてはいけないシステムの場合、検索してもひっかからなかった場合、本当にないのか、検索のしかたが悪かっただけなのかの区別がつかないため、検索を繰り返して時間がどんどんかかってしまうことがあります。

 こういうのが無駄な時間なのです。

 ほんとうに積み上げたら膨大な時間です。

 時間給2万円換算で請求してもいいですか? >あほシステムを作った会社

 払うのがイヤなら一発殴らせろ(半分冗談→半分本気ですが)。


 機械がやったほうが正確で速いことは機械にやらせるべきという鉄則を無視しているヤツが作ったシステムですから、他のところの作り込みもアマいのだろうなと思ってしまいます。






 イーサイトのシステムはレポーティングシステムの方にも、Dicom ビューワーの方にも過去の履歴がずらりと並んでいます。

 クリックなしのデフォルトの状態で何件あるのかがわかります。

 そこに表示されていなければわざわざ検索する手間が要らないことがすぐにわかるのです。

 内容を見るのにもタブをワンクリックするだけですみます。

 かくあるべし。


注)クラウドシステムを採用しながらいちいちの検索が必須なシステムがあります。効率がイーサイトのものとは比べものになりません。


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